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星野光弘市長 所信表明(令和6年9月)

最終更新日:2024年9月3日

市長写真

はじめに
 本日ここに、令和6年第3回富士見市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜り厚く御礼申し上げます。
 ただ今、議長のお許しをいただきましたので、市政運営について、 私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

 私は、7月28日執行の市長選挙におきまして、多くの市民の皆様からの温かいご支援とご信任を賜り、引き続き富士見市の舵取りを担わせていただくことになりました。改めまして、11万3千人の市民の先頭に立ち、市政運営を担う重責に、身の引き締まる思いであり、市民の皆様の民意を真摯に受け止め、未来においても輝き続けることができる富士見市を創るため、全身全霊で行政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
 私自身、平成28年に富士見市長に就任以来、2期8年にわたり、市民の皆様、関係機関・団体の皆様、そして議員各位のご理解、ご協力のもと、市を取り巻く環境、今後の方向性を踏まえ、様々な課題を先送りすることなく、その解決・改善に向け取り組んでまいりました。
 私の2期目の任期が始まりました令和2年以降を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる未曾有の経済停滞、現在も続く物価高騰など、大変厳しい現実に直面いたしました。
 これらの困難や課題の一つひとつに向き合いながら、市内経済の活性化を図るため、市民・子育て世帯・事業者等に対する様々な市独自の緊急支援策を講じ、市民の皆様の生命・財産を守るとともに、市民生活及び経済に及ぼす影響が最少となるよう、総合的な支援に取り組んでまいりました。
 また、私の2期目のマニュフェストである「ふじみ☆ビジョン30+2nd Step」、そして、令和3年度からは、第6次基本構想・第1期基本計画、都市計画マスタープランをスタートさせ、本市における未来のまちづくりの設計図となる各計画に基づき、新しい時代に相応しい、活気が満ちあふれ、足腰の強いまちづくりを推進し、理想の未来である「充実した日々」の実現に向け、全職員一丸となって市政運営に取り組んでまいりました。
 行政・文化・業務機能を有する、市の中心拠点「シティゾーン」における企業誘致や水谷・柳瀬川の土地利用の推進、全ての世代が憩い、楽しめる交流拠点「びん沼自然公園」のリニューアルオープンなどによる「活気と賑わいの創出」、子ども未来応援センターを中心とした、切れ目のない子育て支援とSTEM教育の推進などによる「子育てと教育の充実」、健康マイレージ事業とフレイル予防事業の一体的な健康づくりの取り組みによる「健康長寿社会の実現」、令和4年度に表明しました「ゼロカーボンシティ宣言」に則した地球温暖化対策の推進や様々なステークホルダーとの連携体制を構築してまいりました。
 市民の皆様の安全と安心を守る取り組みといたしましては、災害などが発生した際、初動を迅速かつ的確に行うため、「危機管理監」を配置するとともに、本市の課題である治水対策についても、ポンプの強化や樋管の改修などに、継続的に取り組んでまいりました。
 今般の台風10号では、全国的に大きな被害が発生しました。お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心より御見舞い申し上げます。
 富士見市におきましても、近年の災害に匹敵する短時間の集中豪雨に見舞われましたが、これまで取り組んできました治水対策が一定の効果を発揮し、大きな被害を免れることができました。
 令和4年度に、市制施行50周年という大きな節目を経過した本市は、これからも、そのレガシーを継承し、未来に繋ぐため、これからの10年先、20年先も、市民の皆様一人ひとりが元気で、そして活気が満ちあふれるまちを目指していくとともに、先人の方々の伝統や事業を引き継ぎ、更に発展させていく、未来を切り開いていく「継往開来(けいおうかいらい)」の精神を市民の皆様と共に共有し、人と人との絆を大切にしながら、職員一丸となって「誰もが住みたい、住み続けたい 選ばれるまち 富士見市」を築いてまいる所存です。

3期目の市政運営の基本姿勢
 3期目にあたり、新たな政策方針「ふじみ☆ビジョン30+ 3rd Step」をお示しいたしました。この「ふじみ☆ビジョン30+ 3rd Step」を実行していきながら、様々な課題に対し果敢に取り組んでまいります。
 「理想の未来・充実した日々」の実現を目指した、私の3期目となります市政運営の方針を申し上げます。

 はじめに、政策方針1、「活気と賑わいでつくる富士見市」でございます。
 私が就任した平成28年以降、子ども施策の充実や、シティプロモーション活動など、様々な施策を打ちこんできたこともあり、おかげさまで微増ではございますが、人口は増え続けており、現在では11万3千人を超えております。
 税収につきましても、順調に伸び続けており、令和5年度決算において、市税は過去最高の約164億円となっております。
 これからも成長を継続させながら、富士見市で豊かに暮らしていただけるようしっかりと取り組んでまいります。
 埼玉県企業局と共に取り組んでいる、シティゾーンにおける産業団地につきましては、市税の増収につながることに加え、多くの皆様に働いていただける、雇用の創出にもつながります。新たな活力を創出するこの取り組みにつきまして、しっかりと成就させてまいります。
 水谷・柳瀬川の土地利用につきましては、地権者の皆様のご努力、ご理解により、現在、産業団地の誘致に向け尽力されておられます。広大な土地を有効に活用していくために、文教都市を目指し、大学誘致などにも取り組んでまいります。
 ふるさと納税につきましては、この制度を市内事業者の皆様に活用していただき、魅力ある返礼品づくりや体験消費型返礼品を創出することで、市内産業を活性化させるともに、自主財源の確保につなげてまいります。
 市民サービスの向上や、防災拠点の強化として進めている新庁舎建設につきましては、基本計画を踏まえ、市民の皆様と丁寧なコミュニケーションをとりながら、市民に親しまれる新庁舎となるよう、整備を進めてまいります。

 次に、政策方針2、「すくすく子育てと、確かな教育は富士見市で」でございます。
 これからも妊娠・出産・子育て、就学前、そして学校へと進む、各ステージをトータルで支援してまいります。特に妊娠・出産期を迎え、悩みや問題を抱えている方のために、市内の周産期医療機関の力をお借りして、リラックスしながら、助産師や先生に様々な相談ができる産後ケア事業を今後も充実させてまいります。
 厳しい環境にある子どもたちへの支援に加え、ひとり親家庭など、様々なご事情がある保護者に対して、手を差し伸べてまいります。また、子育て中の方々が、キャリアも子育てもあきらめない、そのような支援施策を実行してまいります。こうした困難な課題に対しても、最善な解決策が求められるよう取り組んでまいります。
 教育の分野につきましては、児童生徒の論理的な思考力や創造性、問題解決能力の向上を図ることを目的に、市内全小学校で取り組んでいるSTEM教育を充実させることで、学力向上に成果も出始めております。さらに、退職した校長による若手教員を支援する体制を整えるなど、先生への支援にも力を入れております。今後におきましても、児童生徒におけるパソコン端末の更新や、授業がスムーズに行われるためのネットワーク再整備など、児童生徒のために良好な教育環境を整えてまいります。

 次に、政策方針3、「共に支え合い、元気で活き活き。ずっと富士見市で」でございます。
 誰もがこの富士見市で、ご自宅において暮らしつづけることができるよう、しっかりと政策を打ち込んでまいりました。その代表が、「ふじみパワーアップ体操」や「富士見市版ALKOOマイレージ」、「フレイルチェック事業」でございます。フレイルチェック事業につきましては、コロナ禍で少し足踏みをしましたが、多くの方にフレイルサポーターになっていただいております。サポーターの方々にご活躍いただき、市内全域にこの取り組みを広げていただきたいと思っております。高齢になっても元気で生活していただくために、これらの取り組みを充実させてまいります。

 高齢者の皆様が日々暮らしていただくために、移動手段の確保が重要なことと考えております。現在では、市内循環バスやデマンドタクシーの事業を推進しておりますが、運転手不足など、運営が難しくなってきていると聞いております。そのため、高齢者の移動手段の確保策として、介護保険制度やその財源を活用した施策並びに、社会福祉法人の車両やボランティアの協力など、地域のインフラを活用する施策について検討を行い、今後、実証実験を進めてまいります。

 また、私は、全国手話言語市区長会の会長に就任するなど、手話の普及や、あいサポート運動に力を入れて進めてまいりました。今後も、手話言語条例を制定しているまちとして、障がいのある人もない人も、共にこの富士見市で暮らしていける共生社会づくりに向け、しっかりと取り組んでまいります。


 次に、政策方針4、「豊かな自然、美しいまちを後世に引き継ぐ富士見市」でございます。
 富士見市は、武蔵野台地の北東周縁部に位置しており、30を超える湧水がございます。散歩道を歩き湧水と出会う、この「湧水と緑のネットワーク」を次世代の財産となるよう、整備してまいります。
 鶴馬2丁目にある「大御庵(おおごあん)(もり)」でございますが、斜面林、雑木林、長屋門などの建物について、しっかりと保全を行い、市民の皆様にお使いいただける場所にしてまいりたいと考えております。
 これらの「湧水と緑のネットワーク」や「大御庵の杜」につきまして、市民の財産として活用できるよう、市民の皆様と一緒に考えながら進めてまいります。
 富士見市は、内閣府より令和6年度SDGs未来都市に選定されました。今後も持続可能な発展を進めていくために、今年度創設した「SDGsフジミライテラス」を通じて、市民をはじめとする多くのステークホルダーと連携協力し、新たな価値や魅力を創造することで、誰一人取り残さない富士見市を実現してまいります。
 市制施行50周年記念の式典で宣言させていただきました「ゼロカーボンシティ宣言」につきましては、埼玉県ときがわ町の森を「富士見・ときがわ交流の森」として、カーボンオフセット事業を進めてまいります。森林環境譲与税を活用して、向こう8年間保全の事業を進め、富士見市が排出する二酸化炭素と森林が吸収する二酸化炭素を相殺する、ゼロカーボンシティを目指した事業を進めてまいります。

 次に、政策方針5、「安全で安心な、ふるさと富士見市をつくります」でございます。
 7月下旬に発生した集中豪雨や突風により、東みずほ台、水谷、水子、貝塚エリアで被害がございました。被災された皆様に心より御見舞い申し上げます。この非常事態におきましても、危機管理監を中心に、市内の被害状況の把握や災害対策本部の設置、避難所開設など、適切な対応が図れたと考えております。南海トラフ地震臨時情報の発表や台風など、災害に対する備えがますます必要となっており、特に地震火災の恐ろしさは、取り組むべき課題であると考えております。木造住宅密集市街地等における被害軽減のために、「地震に強い、燃えないまち」への議論を開始しております。中央防災センターの整備やインクルーシブ防災の取り組みなどと併せ、自助・公助・共助が一体となった防災・減災体制を構築してまいります。

 最後に、市役所元気宣言「創・改・感」でございます。「創」は創意工夫、「改」は改革・改善、「感」は感性・感謝でございます。
 マイナンバーカード等を利用した書かない窓口や、ホームページのAIチャットボット、粗大ごみ受付チャットボットシステムなど、ICTを活用し、市民の利便性向上に加え、業務の効率化を進めてまいります。
 私も市民の皆様から様々なお話しをいただき、時には、施策の周知が足らずに、真実が伝わっていないのではと感じることもございます。市民の皆様の気持ちに寄り添い、丁寧な対応ができるよう、市職員と共に取り組んでまいります。
 私の政策方針である「ふじみ☆ビジョン30+ 3rd Step」を市民の皆様をはじめ、社会の多くのステークホルダーのご理解とご協力を得て、共にしっかりと汗をかきながら全力で取り組んでまいります。
 そして、第6次基本構想で示した理想の未来である「充実した日々」の実現を目指し、日常生活に笑顔があふれる富士見市、幸せな成長を感じることができる富士見市を実現してまいります。

結びに
 2015年9月19日、イギリス南東部のリゾート地ブライトンで、私は、第8回RWCラグビーワールドカップ・イングランド大会における「ジャイアントキリング」と言われた、日本対南アフリカ戦をこの目で見る幸運に恵まれました。
 この時、日本代表チームをヘッドコーチとして率いていたのが、名将エディー・ジョーンズ氏です。これまでに、過去7大会で1勝21敗2引き分けの日本代表が、南アフリカに勝利すると信じる人は少なかったのではないでしょうか。
 しかし、試合後の「ワールドカップで、体格で劣る日本が南アフリカに勝利できたことは、奇跡や偶然ではありません」というジョーンズ氏の言葉が、深く記憶に残っております。
 選手の高いポテンシャル、「世界一」と呼ばれるハードワーク・猛練習で鍛え、タフで忍耐強さを活かした、JAPANWAYのチームづくり。そして、明確なビジョンの共有と理解、緻密な戦略を練り上げ、試合に臨んだ結果でありました。
 本ゲームの最終盤、29対32の3点差の中、勝利を呼び込む一因となったその時の場面が甦ります。キャプテンであるリーチ・マイケル選手の選択です。相手の反則でペナルティキックを得ましたが、ジョーンズヘッドコーチの指示であるペナルティゴールを選ばず、同点ではなく勝利にかけ、スクラムを選択されたのです。
 そして、ジョーンズコーチの指示ではない、もうひとつのプレイが、最後の決勝トライです。南アフリカ戦では、「飛ばしパス禁止」と指示していた中、センターバックの立川選手から、飛ばしパス・ロングパスでマフィ選手へ、そしてボールはヘスケス選手へパスされ、逆転トライに繋がります。これが、世界中に報じられました「ブライトンの奇跡」です。
 この奇跡を導き出したのは、ジョーンズ氏のリーダーシップ・指導力によるものと考えます。ジョーンズ氏が、様々なチームのコーチとして学び、身につけてきたセオリーを「リーダーシップ・サイクル」として紹介されております。
 このサイクルは、チームが成功するための5つのステージ、「ビジョン」・「構築」・「実験」・「勝利(失敗を乗り越える)」・「再構築」があり、これをPDCAサイクルと同様に、目標の大会・試合に向けてサイクルを回し続けます。
 ここで、ジョーンズ氏のお考えを引用し紹介したいと思います。
 「リーダーシップ・サイクルは、容赦なく、厳しい。しかし、人を夢中にさせる魅力にもあふれている。準備とコミュニケーション、成長と発展、アイデンティティと結束など、その領域は幅広い。失敗はつきものであり、都度修正していかなければならない、常に反省と見直しを行う。試合に勝つこともあれば負けることもあり、このリーダーシップ・サイクルは回り続ける、なぜなら完璧なリーダーシップなど存在しないからだ。あるのは飽くなき改善の追求だけだ」と。
 ジョーンズ氏は、「チームのキャプテンや、リーダーシップをとる立場のメンバーは、チーム全体の姿勢を決める」とも語っております。
 私自身、市長としてのリーダーシップを発揮し、自ら身をもって、市の姿勢を示してまいります。そして、これまでの8年間の市政運営に対しても、真摯に反省と見直しを行うリーダーシップ・サイクルを回し、更に推進すべきものは確実に進め、改善すべきものは、より良く改善を行います。富士見市が更に良い方向へと、力強く邁進するよう変化をつくってまいります。
 更に、私と、目標の達成のために共に汗をかく仲間である職員、職員同士が勇気をもって、決断・実行できる組織へ成長・発展させてまいります。
 そう、あのキャプテンであるリーチ・マイケル選手の決断のように、市職員・チーム富士見一丸となり、持てる全ての力を注ぎ、政策の実現と市民の皆様のための市政運営を進めていくことをお約束いたします。
 市民の皆様並びに議員各位におかれましては、なお一層のご理解とご協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げまして、私の令和6年3期目の所信表明とさせていただきます。

令和6年9月
富士見市長 星野光弘