教育行政方針
最終更新日:2022年2月15日
教育委員会が新年度の教育行政の執行にあたり、教育行政運営の基本方針を示したもので、毎年第1回市議会定例会にて教育長が表明します。
令和4年度 富士見市教育行政方針
はじめに
昨年を振り返りますと、学校訪問等を通して、子どもたちの元気な姿を目にする機会が増えました。新しい生活様式などにより制限のある学校生活が続きますが、子どもたちの笑顔に励まされ、パワーをもらうことの多い1年でありました。
さて、令和3年度は「GIGAスクール構想」に基づき、1人1台端末の運用を開始し、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、オンライン授業を行いました。その効果を実感する一方、対面授業の良さや人と人との直接的なふれあいの重要性を再認識するきっかけにもなりました。今後もICTの効果的な活用方法について研究し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのないよう教育環境の充実に努めてまいります。
また、令和4年度は第2次富士見市教育振興基本計画の最終年度であることから、これまでの取組みを着実に引き継ぐべく、教育委員会組織一丸となって、計画の実現に向け取り組むほか、市長部局と連携し、みんなが笑顔で未来に向かう契機となるよう市制施行50周年記念事業を実施してまいります。
それでは、第2次富士見市教育振興基本計画に掲げる基本方針に沿って、令和4年度の教育行政方針を申し上げます。
1 学びあい、高めあい、夢と希望をはぐくむ教育の推進
1つ目の柱、「学びあい、高めあい、夢と希望をはぐくむ教育の推進」について申し上げます。
小・中・特別支援学校では、持続的な学校運営ができるよう、新型コロナウイルス感染リスクの低減を図りながら、教育課程の着実な実施に重きを置き、子どもたち一人ひとりを認め、励まし、ほめる教育を行うことにより、夢と希望をはぐくむ教育を推進いたします。
(1)児童生徒一人ひとりに応じたきめ細やかな指導による学力の育成
まず、「児童生徒一人ひとりに応じたきめ細やかな指導による学力の育成」について申し上げます。
学習指導要領の着実な実施を図るため、「GIGAスクール構想に係る富士見市教育ビジョン」に基づき、1人1台端末をはじめ、対話的な学習を進めていくための授業支援システムや、基礎基本の定着を図るための個別最適化されたドリル教材を効果的に活用し、友だちとかかわりあいながら、自らの学びを深める児童生徒を育成してまいります。また、教員のICT活用指導力の向上をめざし、各校に派遣しているICT支援員の拡充を図ります。さらに、プログラミングを通して創造性をはぐくむSTEM教育について、2年間の課題研究校の成果を基に、市内全小学校に順次拡大してまいります。
学力の向上につきましては、若手教員育成指導員の中学校及び特別支援学校への配置拡大や、委嘱研究に積極的に取り組む学校やグループ等に対する補助の拡充により教員の指導力向上を図り、「主体的・対話的で深い学び」となる授業を展開し、児童生徒の確かな学力を育成してまいります。
外国語教育の充実につきましては、AETと一緒に児童が体験的な英語活動に取り組むことで、意欲的に外国語に親しむことができるよう努めるとともに、小学校6年生及び中学校3年生を対象とした実用英語技能検定受験料の一部補助により、目標を持って英語の技能向上をめざす児童生徒を応援してまいります。
特別支援教育につきましては、通常学級と特別支援学級の交流学習、小・中学校と特別支援学校の支援籍学習を通し、児童生徒一人ひとりの個性を肯定的に受け止め、豊かな人間性をはぐくむインクルーシブ教育を推進してまいります。また、富士見特別支援学校や特別支援プロジェクトチームの専門性を生かし、児童生徒に対する具体的な支援策の提案や教職員の指導力の向上を図ってまいります。
(2)人との交流や感動体験を通した豊かな心の育成
次に、「人との交流や感動体験を通した豊かな心の育成」について申し上げます。
「いのち」の授業につきましては、児童生徒が「いのち」の大切さについて考えを深める中で、自分を大切にするとともに他者を尊重する意識を高めるため、助産師等による「いのち」をテーマとした講演を引き続き全校において実施してまいります。
いじめ防止対策につきましては、いじめのない学校づくり子ども会議における話合い等を踏まえ、ネットいじめ防止をはじめとした具体的な取組みを進め、未然防止、早期発見、早期対応に努めてまいります。
「特別の教科 道徳」においては、主体的に学習する場の創出や自己の成長を感じられる評価を全校で実施するとともに、道徳の授業を「要」として、学校の教育活動全般にわたり豊かな心の育成に努めてまいります。
不登校児童生徒につきましては、多様な学びの場を確保し、児童生徒一人ひとりの特性や願いに寄り添いながら、社会的な自立をめざしてまいります。
児童生徒の心のケアにつきましては、教職員研修や巡回教育相談などの充実により、個々に応じた支援に努めてまいります。また、ホームページなどを活用し、子どもへの関わり方や相談機関を広く周知してまいります。さらに、医療機関と連携した教育相談の実施により相談体制を強化してまいります。
学校行事などの体験活動につきましては、人間関係の形成や心身の成長に大きな役割を果たしていることから、感染状況に配慮しながら実施してまいります。
また、市制施行50周年記念事業として、「私たちの未来、50年後の富士見市」をテーマとした作品展を開催し、郷土意識の醸成を図ります。
(3)自らの健康・安全を守る資質・能力と健やかな体の育成
次に、「自らの健康・安全を守る資質・能力と健やかな体の育成」について申し上げます。
児童生徒の歯科保健指導につきましては、学校歯科医や歯科衛生士による歯みがき指導などを引き続き全校で実施いたします。
安全教育につきましては、学校応援団や地域の皆様の協力を得ながら、学校や警察、関係各課と連携して通学路合同安全点検を実施し、児童生徒が安全に登下校できるよう指導・支援してまいります。また、防災教育につきましては、水害や土砂災害などを想定した体験的な活動を通して、児童生徒が主体的に自他の命を守ることができるよう取り組むとともに、学校・地域が連携し、非常時には地域の一員として力を発揮できるよう意識付けを図ってまいります。
健やかな体の育成につきましては、本市の課題である「敏捷性」を高めるため、体力向上推進委員会を中心に長縄を利用した活動「縄チャレ」や外遊びの推進等により、運動の楽しさや喜びを味わうことのできる児童生徒の育成に努めてまいります。
(4)地域の教育力を生かし教育効果を高める学校教育の推進
次に、「地域の教育力を生かし教育効果を高める学校教育の推進」について申し上げます。
教職員の負担軽減につきましては、スクール・サポート・スタッフの配置のほか、業務改善検討委員会において、「事務負担軽減」「教育課程の見直し」「意識改革」の3つの視点から研究を進め、子どもと向き合う時間の確保に努めてまいります。
小中一貫教育につきましては、小学校への乗り入れ授業実施に向け配置した支援員の成果等を検証するとともに、義務教育9年間を見通したカリキュラムの研究について継続して取り組んでまいります。
学校給食につきましては、女子栄養大学との協働による市制施行50周年を記念したメニューづくりや、セルビア給食の提供に取り組むほか、災害時に備え、非常食の購入を継続してまいります。また、令和5年度からの実施に向け、調理業務の委託化や学校給食費の公会計化について、準備を進めてまいります。
学校施設につきましては、市内小・中学校6校の体育館へ空調設備を設置するほか、西中学校大規模改造工事やみずほ台小学校トイレ改修工事などを実施いたします。また、水谷小学校につきましては、将来の児童数増加を想定し、教室改修のほか、令和6年4月供用開始をめざし校舎の整備に着手してまいります。
高等学校等教育資金に係る利子補給につきましては、制度の拡充を図ってまいります。
2 学びあう地域社会をめざす教育の推進
2つ目の柱として、「学びあう地域社会をめざす教育の推進」について申し上げます。
第3次富士見市生涯学習推進基本計画に定める「自由な学びにより生きがいができる」まちをめざし、あらゆる世代の皆様が主体的に学び、その成果を分かちあうことで、ともに育ち、活力ある地域社会となるよう社会教育を推進してまいります。
(1)家庭・地域の教育力の向上
まず、「家庭・地域の教育力の向上」について申し上げます。
公民館における家庭教育支援につきましては、子育て世代の保護者を対象に学習会などを開催するとともに、仲間づくりや情報交換のできる居場所づくりを進めてまいります。また、子ども食堂や地域子ども教室のほか、青少年関係団体への支援などにより次世代を担う子どもたちの健全育成に努めてまいります。
小学生対象の「サタデースクール☆ふじみ」、中学生対象の「イブニングスクール☆ふじみ」につきましては、事業開始後5年が経過したことから、これまでの成果等を検証し、事業の充実に努めてまいります。
(2)生涯にわたる学習機会の提供と学びのネットワークの推進
次に、「生涯にわたる学習機会の提供と学びのネットワークの推進」について申し上げます。
「子ども大学☆ふじみ」につきましては、市制施行50周年と子ども大学第10期を記念し、児童による市議会体験のほか、特別講演会を実施いたします。
人権教育につきましては、お互いを認め、多様性を尊重しあえる地域社会をめざし、関連機関と連携を図りながら、インターネットによる人権侵害など様々な人権問題について、引き続き教育や啓発に努めてまいります。
南畑公民館の「農バルプロジェクト」、水谷東公民館の「やなせ川いかだラリー」など地域資源を活用した事業や、公民館だよりの発行など地域の人材を活用した事業を進めてまいります。
(3)学びあう地域社会を創る活動の推進
次に、「学びあう地域社会を創る活動の推進」について申し上げます。
公民館におきましては、学びを通して、希薄になりがちな人と人とのつながりを創るため、世代に応じた様々な事業を展開するとともに、学びにおける中核施設として活用されるよう努めてまいります。また、利用者の拡大を図る取組みの一つとして、ICTを活用した事業を展開してまいります。
鶴瀬公民館では、「市民演劇のつどい」や「和太鼓まつり」など、鶴瀬コミュニティセンターホールを活用した事業を開催し、文化創造活動を支援してまいります。
南畑公民館では、「なんばた青空市場」や「南畑ふるさとまつり」など地域の交流や賑わいにつながるイベントを支援するとともに、動画配信事業「おうちで楽しむ公民館」について、引き続き制作・配信してまいります。
水谷公民館では、地域における子育て世帯の増加などを踏まえ、「お母さんのステップアップ講座」など子育て学習支援事業の充実を図るほか、主に高齢者を対象とした「スマホ講座」を開催してまいります。
水谷東公民館では、地域のスポーツ推進事業として、「ボッチャ体験会」などを実施してまいります。また、オンライン事業やイベント等の動画配信を実施し、場所や時間に捉われない事業を展開してまいります。
(4)暮らしとまちづくりに役立つ読書活動の推進
次に、「暮らしとまちづくりに役立つ読書活動の推進」について申し上げます。
図書館につきましては、地域の情報拠点として幅広い市民ニーズに対応した資料の充実を図るとともに、昨年導入した電子図書館の利用促進に努めてまいります。
また、図書館に足を運んでいただくきっかけづくりとして、ワークショップやロビーコンサートのほか、秋の図書館まつりでは、市制施行50周年記念事業として、タイムカプセル事業や講演会を実施いたします。
子ども読書活動の推進につきましては、「富士見市子ども読書コンクール」や、小学校新1年生を対象とした「セカンドブック事業」などを引き続き実施してまいります。
また、第3次富士見市子ども読書活動推進計画における成果や課題を検証し、第4次計画の策定に取り組んでまいります。
(5)郷土遺産の継承と文化芸術の振興
次に、「郷土遺産の継承と文化芸術の振興」について申し上げます。
市の貴重な文化財を市民の皆様に広く知っていただき、親しみを感じていただけるよう、お囃子や獅子舞をはじめとする郷土芸能の動画配信や、公共施設や商業施設での埋蔵文化財の展示など、工夫した情報発信に取り組んでまいります。
資料館につきましては、水子貝塚公園の再整備に向けた「史跡水子貝塚保存活用計画」の策定や、難波田城公園にある旧大澤家住宅の茅葺き屋根修繕など、貴重な文化遺産である史跡公園の適切な管理に努めてまいります。
また、市制施行50周年記念事業として、本市のこれまでの歩みをわかりやすくまとめたガイドブックの発行や市民参加による武者行列を開催いたします。
(6)誰もが親しめる生涯スポーツの推進
次に、「誰もが親しめる生涯スポーツの推進」について申し上げます。
東京2020オリンピック・パラリンピックのレガシーを継承すべく、スポーツやからだを動かすことへの関心を高めるため、市長部局と連携し、学校や公民館において体験教室などを実施してまいります。
3 組織の総合力を生かした教育の推進
3つ目の柱として、「組織の総合力を生かした教育の推進」について申し上げます。
教育行政の運営につきましては、教育委員による学校訪問等により教育上の課題を把握し、調査・研究、議論を進めることで、教育委員会会議等の活性化を図ってまいります。また、市ホームページを通じて、教育委員の活動が見えるよう、周知の工夫に努めてまいります。
第2次富士見市教育振興基本計画につきましては、本市教育大綱等の理念の実現をめざし、第3次計画の策定に取り組んでまいります。
おわりに
江戸時代の俳人、松尾芭蕉の俳諧理念の一つに「不易流行」という言葉がございます。急激に変化する時代を生きる今こそ改めて、教育における「時代を超えて変わらない価値のあるもの」と、「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」をしっかりと見極め、一人ひとりが輝く富士見市の教育をめざしてまいります。
市民の皆様や議員各位の引き続きのご理解とご協力をお願い申し上げまして、令和4年度の教育行政方針といたします。
教育行政方針PDF版
お問い合わせ
教育政策課 総務企画グループ
〒354-0021 埼玉県富士見市大字鶴馬1873番地1(中央図書館2階)
電話:049-251-2711(内線611・612)
ファックス:049-255-9635